ライター・編集者 松本正行

19日から始まった「令和7年夏休み文楽特別公演」を観てきました。私が観たのは、三部構成のうちの第2部。演目は『一谷嫰軍記(いちのたにふたばぐんき)』と『桂川連理柵(かつらがわ れんりのしがらみ)』でしたが、想像以上に『桂川連理柵』が面白く、2時間があっという間に感じられました。
実際の事件をもとに構成されたこの作品は、人間の心の揺れ動きがぐっと迫ってきます。せりふもわかりやすく、文楽初心者にも十分楽しめる内容です。以前、「文楽は難しそうだという人には、まず世話物から」と書いたことがありますが、今回あらためてその思いを強くしました。お半という少女が、帯屋の主人・長右衛門と、お伊勢参りの帰りに道ならぬ関係に陥ってしまう――その基本的な筋を知っていれば、十分に理解できる演目です。興味を持った方は、ぜひ一度ご覧になってみてください。
なお、今回の第3部では、人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボレーションも実施されています。演目『小鍛冶』に登場する宝刀「小狐丸」は、「刀剣乱舞ONLINE」のキャラクターともゆかりが深く、等身大パネルなども設置され、第3部の開演前には、ふだんとは少し異なる賑やかな雰囲気が広がっていました。ファンの方には『小鍛冶』も見逃せない演目でしょう。
なお、毎年11月に開催される秋の文楽公演は、今年は万博に合わせて9月から10月にかけ上演されます。『曽根崎心中』『心中天網島』といった近松門左衛門の名作が並ぶ予定です。こちらも見逃せません。
●「令和7年夏休み文楽特別公演」
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2025/2025summer
●「令和7年爽秋文楽特別公演」(9月6日~10月14日)
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2025/7/
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。
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