所在地:(ともに)大阪市中央区大手前4丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
難波宮が置かれたように、上町台地の北端は古代王権にとって極めて重要な場所でした。難波宮以前にも、難波津と呼ばれる国際港や巨大な倉庫群が築かれています(法円坂遺跡)。大阪の源流はまさに上町台地にあったのです。
大阪歴史博物館とNHK大阪放送会館は、その倉庫群の真上に建ちます(写真上)。
法円坂遺跡が発見されたのは比較的新しく、1987(昭和62)年のことでした。博物館とNHKの新局舎の建設が決まったのはそのあとで、遺構を保存・活用するというミッションも課せられたため、けっこうな難工事だったといいます。それでも、2001(平成13)年に無事完成。「風をはらんだ帆船」をモチーフとした複合施設(博物館が船、NHKが帆をイメージ)は、新たなランドマークとなりました。ちなみに、博物館の地下1階では遺構の一部を保存、建物前の広場には高床式倉庫が復元されています。
実は、この周辺には、もうひとつ注目して欲しいものがあります。それは、道路をはさみNHKの北側にある大きな木です。その下に「舎密局(せいみきょく)跡碑」(写真下)があります。舎密とは化学のことで、ここが大阪初の公立教育機関でした(1869=明治2年)。舎密局はのちに第三高等学校となりいまの京都大学につながります。科学立国・日本の源流のひとつも大阪にあったんですね。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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