ライター・編集者
松本 正行
(例文)甘いチョコレートは好きではありません。
この文章をみなさんはどう解釈したでしょう。おそらく、多くの人は「甘いチョコレートは嫌い。ビターチョコレートが好き」というふうにとらえたと思います。ただ、「チョコレートは甘いので好きじゃない」ととらえることも可能で、実際、そう思った人もいるはずです。書き手の思いがどちらだったのかは、この文章からだけからでは判断がつきません。
(修正1)甘いチョコレートは嫌いで、苦いチョコレートなら好きです。
(修正2)チョコレートは甘いので好きではありません。
このように書くと解釈に迷うことはありません。
同様の例はいくつもあって、たとえば「画家の弟は大阪市民だ」という文章だと、「画家には弟がいて、彼は大阪市民」なのか「私の弟が画家で…」なのかが不明です。多くの人は前者ととらえるかもしれませんが、あいまいな部分がある限り、やはり修正すべきでしょう。
冒頭を「その画家」にするだけで、あいまいさは解消できます。「私の弟が画家で、大阪市に住んでいる」という具合に2つに分けるのも手です。表現の工夫は文章力を高めます。いろいろ試してみてください。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。