天王寺区上本町西にある浄土宗寺院「誓願寺」。このお寺には江戸前中期「好色一代男」「日本永代蔵」などの作品で一世を風靡した戯作者 井原西鶴や、学問所「懐徳堂」を江戸中期以降、140年にわたり経営したことで有名な中井甃庵を初祖とする中井一族のお墓があります。
9月8日(日)、旧暦8月10日に亡くなった井原西鶴の「西鶴忌」が誓願寺で執り行われました。今年は西鶴没後331年となります。山中ご住職による午後1時からの墓前での読経に始まり、本堂での回向、森田雅也関西学院大学教授の記念講演へと続きます。今年の講演のタイトルは「西鶴と芭蕉」。当時の時代背景のお話とともに、西鶴の俳諧のお話、浮世草紙への移行、西鶴と芭蕉は同じ西山宗因の門にありながら会ったことがないのではないか、などいろいろ興味深いお話を聞かせていただきました。
今回の参列者は檀家総代さんをはじめ、学生さんたちなどで10人ほど。少し寂しい思いがしました。近年、大阪の自治体などの公的な援助も途絶え、現在「西鶴忌」は森田先生がおひとりで頑張っておられます。俳句の秋の季語にもなっている「西鶴忌」。大阪の産んだ文豪を顕彰し続けるためにも、これからみんなで応援していきたいものです。