所在地:大阪市住吉区万代3丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
大阪が「八百八橋」と呼ばれた「水の都」であったことはよく知られています。しかし、川は埋め立てられ、橋もずいぶん少なくなりました。それでも大川があって、道頓堀川も流れています。「都会の中心に水辺があるのは大阪の財産だ」とある評論家は言いましたが、水辺は都市の財産、オアシスです。気持ちを和ませてくれます。
万代池などは、その都会のオアシスの最たるものでしょう。周囲728メートル。桜の名所として知られ、春は花見客でにぎわいます。冬は渡り鳥目当てに、野鳥ファンが集うそうです。
台地にあった谷をせき止めつくられたといわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。池に棲みついた魔物を、聖徳太子が四天王寺より僧を遣わし調伏した、という伝説も残っています(その魔物を封じ込めたのが、池の真ん中の島にある古池龍王の塚=上の写真です)。
そんな万代池ですが、周辺で多くの教育機関が生まれたことはあまり知られていないようです。大阪府立大学となった大阪女子大学は半世紀にわたり拠点を置きました(下の写真がその跡地)。関西外国語大学も実は発祥はこの地で、移転先の枚方のキャンパスに「万代池」という名の池までつくりました。水辺と文化――この2つには親和性のようなものがあるのでは。そんなふうにも思えるのです。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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