所在地:大阪市住吉区住吉2丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
住吉大社の歴史は古く、約1800年前、神功皇后が底筒男命( そこつつのおのみこと)など三柱の神に航海の無事を祈願したことにさかのぼります(『日本書紀』など)。本殿は4棟(写真上)。すべて檜皮葺(ひわだぶき)、切妻造り妻入りの「住吉造」です。住吉造は神社建築史上、最古の様式の一つであり、1810年造営の現・本殿は国宝に指定されています(写真下は第一本宮前での新嘗祭の様子)。
有名な神社で、住吉大社ほど間近で本殿を見られるところはないでしょう。本殿がすべて西(大阪湾)を向いているのも他にはない特徴です。住吉の神は航海神であり、本殿の配置はまさに船団のよう。実は、昔は海岸線が神社のすぐ近くまで迫っていました。『源氏物語』にも光源氏の妻が船を使い、参詣する様子が描かれています。また、古くは住吉を「すみのえ」と読んだそうです。清んだ入江。いまでは想像もできませんが、松が有名な海岸があったことにちなみ、住吉は松の枕詞にもなりました。
ところで、うさぎが住吉さんの「お使い」なのは、ご存じでしょうか。住吉の神が「卯(=うさぎ)の年」「卯の月」「卯の日」にこの地に鎮座したことに由来します。境内には、うさぎにちなんだものがあちこちあるので、ぜひ、探してみてください。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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