所在地:大阪市天王寺区玉造本町
写真/中原文雄 文/松本正行
OsakaMetro玉造駅のすぐ近くの場所にある宰相山西公園。その先に墓地の入り口はあります。少し奥まった場所だからでしょうか、訪れたことがある人は案外少ないようです。近くにある高津高校のOBでありながら、筆者が入ったのも10年ほど前が最初でした。夏の暑い盛りでしたが、ここだけは空気が澄み、時間が止まったようだったことをよく覚えています。高津高校の先輩である美術家・森村泰昌氏は「墓地に吹く風は、どこかしら寂しげであり、またどこかしら平穏」と書いていました。
真田山陸軍墓地は、かつて全国に76か所あったとされる軍用墓地のなかでも最大級であり、多くが再開発などで失われていく中、最もよく元の形を残しているといわれます。設置されたのは1871(明治4)年で、日本で最初にできた軍用墓地でもあります。西南戦争、日清・日露戦争、第二次大戦など時代を経るごとに墓碑は増え、その数は優に5000基を超えました(写真上)。その他、納骨堂には8000余の遺骨が納められています。
戦争が終わって80年が経とうとしており、墓碑の風化も進みました。戦争や平和を考える上で重要なこの場所を、これからもしっかり守り伝えることが大切でしょう(写真下は桜が咲き誇る春の情景)。なお、現在、真田山陸軍墓地の維持管理は公益財団法人真田山陸軍墓地維持会の皆さんが尽力しておられます。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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