所在地:大阪市中央区玉造2丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
上町台地の北端、北大江公園のあたりにかつて巨大なキリスト教寺院が建っていました。南蛮寺と呼ばれ、1585年に高山右近が畿内で最も美しいと言われた河内岡山の教会堂を移築、完成後は多くの人が見学に訪れたそうです。日本で最も有名なキリシタンの一人である細川ガラシャが、生涯でただ一度訪れた教会も南蛮寺だったといわれています。
そのガラシャが住んだ細川邸は上町台地にありました。いま、そこに建つのが聖マリア大聖堂です。1963(昭和38)年に現在の建物ができました。
まず、正面中央の聖母マリア(写真上)と、玄関前広場の左右にある高山右近・細川ガラシャの銅像が信者を迎えます。聖堂の中に入ると100を超える彩りゆたかなステンドグラスが。そして、2400本のパイプをもつパイプオルガンの荘厳な音色が人々をやさしく包みます。印象的な内陣の絵は、巨匠・堂本印象が手がけました(写真下)。
まさに、大聖堂の名にふさわしい大伽藍。と同時に、キリスト教史における上町台地の重要性を示す“歴史遺産”でもあります。それを知ってこの建物を見ると、また違った感慨を抱くのではないでしょうか。
※聖マリア大聖堂の正式名称は「カトリック玉造教会」。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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