算数、数学、理科を解くのに、知ってるとちょっと得するコツや心構えを、数学・理科・英語の指導に定評のあるKSP理数学院の鍵本聡先生にお聞きするコーナーです。
●模試って重要ですか?
小学生から高校生まで幅広く行われている模擬試験(模試)。受けたことがないという学生さんはいらっしゃらないと思いますが、みなさんうまく活用されていますでしょうか?
模試は勉強の道標(みちしるべ)の一つです。その結果を見ることで色々なことがわかります。勉強を進める上でも模試というものはとても重要なのです。
●具体的にはテスト後、何を見ればいいのですか?
返却された模試の偏差値や順位、志望校の判定結果だけに一喜一憂してらっしゃる方はいらっしゃいませんか? もちろんそうしたデータも重要ですが、まず大切なのは各科目のどこを間違えたか、どの単元で大きく点を落としているかということです。すなわち、これからの勉強で「どこを重点的に復習すべきか」ということの確認が大切なのです。
●模試の志望校判定はどれぐらい信じていいのですか?
模試を実施している塾や予備校、教育機関は、今までの受験生の偏差値と合格実績のデータを豊富にもっているので、統計的には大いに信用できる合格判定を出すことができます。例えば偏差値58でA校を受験して合格した人が50%ぐらい、偏差値63なら80%ぐらい、という感じです。ですので、いまの自分の総合的な実力が志望校を目指すのに大幅にかけ離れていないか、というような目安には非常に参考になります。その一方で、学力というのは意外と短期間で上下するものです。さらには偶然に得意単元ばかり出題されて、偏差値が思った以上によく出たりするケースもあります。
イメージとしては合格可能性50%ラインを下回っていたら要注意ですが、入試までどれぐらいの期間があるのか、半年後なのか2年後なのかでも、その判定の重要性が全く変わってきます。詳しくはやはりそれなりのカウンセリングを受けるのがいいでしょう。
●では模擬試験を受験した際に具体的に何をすればいいのですか?
まずは模試が終わった日、できるだけすぐに「自己採点」をしてみてください。記述式などで自分でも採点しづらいような問題・科目もあるかもしれませんが、できるだけ自己採点をします。この際に自分が解答用紙に書いた答を問題用紙などに書き写す作業や、書いた答案を頭の中で再構築する作業が実力を大きく上げてくれます。できれば受験した各科目の予想点数をどこかに書いておきましょう。
次に模試が戻ってきた際に、まずは自分の予想した点数とどれぐらい点数が違うか、どの問題で特に点数の違いが発生したかを見直します。この作業で実力がかなり定着するはずです。
さらに大きく失点した単元を洗い出しましょう。このときピックアップされた単元はあなたにとってとても大切な単元だからです。模試の際にできなかった問題をよく見直すことで、あなたの実力は格段に伸びます。
すなわち、模擬試験は「自分の学習到達度を教えてくれる」ということです。これから入試までにどの分野を重点的に勉強すべきかをはっきりさせてくれるわけです。それを確認するという作業が大切なプロセスになります。
●模試のデータ集はどう活用すればいいですか?
模試ごとに差異はあるものの、すべての模試に共通していることは、すべての単元からそれなりにまんべんなく出題されるということ。模試のデータ集は、そういう意味でみなさんの実力をかなり誠実に表しているといえます。
たいていの模試のデータ集には点数と偏差値の相関表が掲載されています。もしもそのできなかった問題ができていたら偏差値がどれぐらい上がって、合格の可能性がどうなるかということも確認しておきましょう。
ただし、実際の本番入試には各学校の「傾向」みたいなものがあって、模試よりもかなり偏った出題がなされることも多いものです。模試のようにオールラウンドの実力のみで判定できないことも多々あります。
模試をうまく活用して、みなさんが多くの苦手分野を克服されますように!
動画での解説はコチラ→https://youtu.be/69iw8EDZf2k
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▽1223KSP 理数学院(旧KSP理数学院)=東成区東小橋3‐1‐15NKBビル3階、電話06・4981・5292
鍵本聡先生(1223KSP 理数学院代表) 京都大理学部・奈良先端大卒、数学教育のエキスパート。「計算力を強くする」シリーズや「16歳の教科書」など、著書は国内外で40冊に上る。