算数、数学、理科を解くのに、知ってるとちょっと得するコツや心構えを、数学・理科・英語の指導に定評のあるKSP理数学院の鍵本聡先生にお聞きするコーナーです。
●まず単刀直入にお聞きします。算数力がアップする遊びにはどんなものがあるのでしょう?
トランプやお金のゲーム、ブロック、積み木…全部算数力につながります!
さらにいうと、スポーツやお料理、楽器演奏などもすべて算数力がアップします。
●それはどういうことなのでしょう?
子どものころの遊びをバカにしてはいけません。遊びの中にも「ルール」があって、「会話」があります。ルールや会話の中に「算数力」を伸ばす要素が盛り込まれているのです。
●では子どもはどのように遊べばいいのでしょう?
一言でいうと、真剣に遊びましょう。算数力で必要な「先読み力」もはぐくまれるほか、的確なコミュニケーションをすることで問題文を正確に把握できるようになります。また、答案を書く際にもわかりやすい解答を作成する能力が自然と備わります。
逆に、子どもの算数力を上げようとして「遊んでないで塾に行きなさい!」などと言うのは、得てして逆効果です。子供のころに真剣に遊ぶことで、算数力がはぐくまれるのです。遊ぶことを否定することは算数力を伸ばす妨げになります。
●では子どもを真剣に遊ばせるいい手はありますか?
遊びと言ってもいろいろありますが、保護者にとって手っ取り早いのは、積木やブロックなど算数力をアップさせるゲームやおもちゃを買い与えることです。何もしなくてもそれらで遊ぶことで、お子さんの算数力は飛躍的にアップします。
例えば積木やブロックというのは図形に対する直観力を大いに引き上げてくれますし、それらをいくつか組み合わせて何かをつくるのであれば、数の概念も自然と身についてきます。
少し高学年なのであれば、ちょっとしたボードゲームやカードゲームでもいいでしょう。トランプでも大丈夫です。囲碁や将棋なども深い先読み力と洞察力をはぐくんでくれます。相手がいない場合はゲーム機という手もありますが、個人的なおススメは会話力もつく生身の人間が相手になる昔ながらのゲームです。
●中高生でもそういうゲームなどはおススメですか?
まあ中高生ともなると、テストの点数がそのまま進路に反映されることもあるので、なかなか「思いっきり遊ぼう!」と言えない面もありますが、そんな中高生でもトランプやボードゲームはおススメです。真剣にプレイすることで、その世界に没頭することになりますが、そのことが頭脳を明朗にしてくれるだけでなく、それまでモヤモヤとしていたいろいろなことが解けることもあります。テスト前などは遊びをグッと我慢することも大切ですが、大きな目で見たら、カードゲームやボードゲームでいい時間を過ごすことはよい時間の使い方だと考えます。
●いわゆるゲーム機などの「テレビゲーム」はどうでしょうか?
時間を区切って遊べるのであれば、テレビゲームも悪くはありません。しかし、少し気を付けたいのはゲーム機に1日中向かい合って、それ以外の何もしないようになってしまうこと。私の知っている多くの「引きこもり」の学生さんは、たいていゲーム機に1日向かっていることが多いです。いわゆる「ゲーム障害」などと呼ばれる症状です。
そういうことを避ける意味でも、あまり小さいころからゲーム機に没頭しないよう、保護者が注意するのは大切なことです。ゲーム機で遊ぶ時間を自分で決めて、健全にプレイすることさえできれば、ゲーム機のゲームにも素晴らしいものがたくさんあります。
●最後に、遊びが苦手なお子さんにはどのようにすればいいでしょう
元来、遊びは楽しいものです。楽しむことができていないのであれば、まずは「楽しい!」と思えるような簡単なゲームから始めてみてはいかがでしょうか。
そもそも算数や数学の問題というのは、実はゲームのように解いていて面白いものなのです。それゆえ、まずは算数や数学がゲームのように「楽しい!」と思えるようになればしめたもの。ぜひ苦手な人も、少しずつでいいのでゲームを楽しんでみてはいかがでしょうか。
▽1223KSP 理数学院(旧KSP理数学院)=東成区東小橋3‐1‐15NKBビル3階、電話06・4981・5292
鍵本聡先生(1223KSP 理数学院代表) 京都大理学部・奈良先端大卒、数学教育のエキスパート。「計算力を強くする」シリーズや「16歳の教科書」など、著書は国内外で40冊に上る。