ライター・編集者
松本 正行
(例文)山川さんはまじめな人だ。だから、山川さんが会議に遅れるようなことはない。実際、山川さんは定刻にやってきた。
英語などと違って、日本語では主語の省略がよく行われます。例文のように、同じ主語が何度も続くような場合は、むしろ読みづらく、省略できる主語を削ったほうが、すっきりした文章になります。
(修正)山川さんはまじめな人だ。だから、会議に遅れるようなことはない。実際、定刻にやってきた。
例文は文脈から主語が特定できるケースですが、ほかにも主語が「人々」や「世の中」など広く一般的なものを指すケースでも、省略は可能です。たとえば、「景気がよくなったので、明るくなった」といった文章では、「世の中」が省略されています。でも、十分、意味は通じるでしょう。
ただし、主語を省略してはいけないケースはあって、「私が会社を出ようとしたとき、彼は机に座ったままだった。時間が変更になったことを知らかなった」といった文章だと、知らなかったのが「私」なのか「彼」なのかが判然としません。主語を削る場合は、文意に気を配りながら行う必要があります。
省略可能といっても、やりすぎは禁物なのです。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。