ライター・編集者
松本 正行
(例文)田中が食事をしている一方で、佐藤は電話をしている。それには時間がかかると思った。
「これ」「それ」「あれ」「どれ」は指示語(こそあど言葉)と呼ばれます。便利なのですが、安易に使うと何を指しているのか判然としない文になりかねません。例文の「それ」が指すのは、「田中の食事」なのか「佐藤の電話」なのか。はっきりさせたほうが文はすっきりします。
(修正)田中が食事をしている一方で、佐藤は電話をしている。佐藤の電話は時間がかかると思った。
いまのは複数の可能性があるケースでしたが、そもそも何を指しているのかわからない文も散見されます。また、「最近、スマホの買い替えが増えている。その一人が渡辺だ」のように、微妙に主語と述語がずれている例も多く見られます。「スマホを買い替える人が増えている。~」と書けば、きちんと主語と述語が対応するので問題ありません。
便利だからといって安易な使用は禁物。読み返しの際、何を指しているのかわかるかどうか確認する習慣をつけましょう。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。