ライター・編集者
松本 正行
(例文)新型コロナウイルスの拡大によって、観光や飲食業の土台を崩しかねない。
さっと読むだけだと見逃してしまうかもしれませんが、前後が微妙にかみ合っていません。これは能動と受動の問題で、「拡大によって」をそのまま使う場合、後半は受動の形にする必要があります。逆に「崩しかねない」をいかすのなら、「拡大によって」ではダメ。主語を明示し能動態にしなくてはいけません。
(修正1)新型コロナウイルスの拡大によって、観光業や飲食業の土台は崩されかねない。
(修正2)新型コロナウイルスの拡大は、観光業や飲食業の土台を崩しかねない。
能動と受動にはどちらを使うべきかという問題もあります。能動態は「誰がどうする」「何が何だ」とシンプルで読み間違いがないため、実用文では「能動にすべし」と言われます。一方、受動の文は行為の主体が明示されなくてもよいため無責任になりがち。「~と思われます」などはその典型です。「ここぞ」という時は能動態で! 覚えておきましょう。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。