ライター・編集者
松本 正行
(例文)渡辺がデータが違っていたことが失敗の原因だと言っていた。
何とも読みにくい文章です。原因は主語をあらわす助詞「が」が3つも出てくるためで、読み手は文の骨格(主語と述語)をつかむのに手間取ってしまいます。「渡辺が」のあとに句点を置いて主語を明示する方法もありますが、多少、読みやすくなる程度でしょう。
例文のように、主語と述語の関係がふたつ以上あるものを複文といいます。複文だとどうしても「かかる語」と「受ける語」がわかりにくい。文を分割したり、表現を変えたりといった工夫が必要です。
(修正)データの間違いが失敗の原因だ、と渡辺が言っていた。
「が」の数がひとつ減りました。加えて、主語(渡辺が)と述語(言っていた)を近づけたことで、骨格がわかりやすくなりました。このケースだと、「データ~原因だ」をカッコでくくるともっとわかりやすいでしょう。
たがか「てにをは」、されど「てにをは」。次回も「てにをは」の正しい使い方をレクチャーします。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。