職業:書道家
落語にはさまざまな職業が登場します。
演芸評論家の相羽秋夫さんならではの
切り口で落語国の仕事をみてみると……。
文/演芸評論家 相羽秋夫
書道の手習いの先生と大工の頭(かしら)が酒盛りをして寝入った。2人の魂が、体から抜け出て遊郭で遊んでいる時、火事が起り、あわてて戻る瞬間に入れ替わってしまう。それから2人の性格が、がらりと変わる。
医者に診せると、2人を薬で眠らせて元に戻そうとするが、抜け出した魂を泥棒が見つけて盗む。目覚めないので、清元の文句に「田町へ帰る法印さん」とあるので、魂の呼び寄せに法印に祈祷を頼む。満願の日に、魂でなく泥棒が引き寄せられて「魂返す 法印さん」。
毛筆を用いて文字を書く造形美術の書道の、歴史は古い。
中国後漢期に、紙の発明と筆が改良されて書が盛んになった。その後、魏・晋期に王羲之(おうぎし)、王献之父子の活躍によって書道が確立された。中国から日本や朝鮮に伝わり、この三国で発展を見せた。日本では、平安期に万葉仮名をくずした草書体(仮名文字)が考案され、和風の書道が創始された。
京極流・青蓮(しょうれん)院流・世尊寺流・法性寺流・定家流などの流派が生まれた。
書の媒体には、巻子(かんす)・懐紙・短冊・色紙・条幅・屏風などがある。
また、漢字の書体としては、篆(てん)書・隷(れい)書・楷(かい)書・行(ぎょう)書・草(そう)書の5体がある。
ちなみに西洋にも、文字を美しく見せる「カリグラフィー」と呼ばれる形態が存在する。
日本の歴史上に登場した秀でた3人の書道家を「三筆」と呼んで顕彰している。平安初期の三筆は、嵯峨天皇・弘法大師(空海)・橘逸勢(はやなり)である。また、江戸・寛永期は、近衛信尹(のぶただ)・本阿弥光悦・松花堂昭乗である。
仮名文字の書道家の三名人は「三蹟(三跡)」という。こちらは、小野道風・藤原佐理(すけまさ)・藤原行成(ゆきなり)を指す。
「読み書き算盤(そろばん)」と言って、日常生活で最小限必要な教養の一つである書くこと。恥をかくことだけは慎もう。
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