職業:戒名書き
落語にはさまざまな職業が登場します。
演芸評論家の相羽秋夫さんならではの
切り口で落語国の仕事をみてみると……。
文/演芸評論家 相羽秋夫

彼岸の四天王寺の境内には、「戒名書き」と呼ばれる商売の人たちが並んでいた。
1人の男が長い戒名を依頼すると、戒名書きは「ちょっと小便に」と言って帰ってこない。その隣りに頼むとすらすらと書いてくれたが、相場の何十倍もの料金を請求される。額を聞いた男「私も小便に」。
仏教では、戒律を受けて仏門に入った者に付ける名前を戒名と呼んだが、平安期頃より死んだ者に葬儀の中で与える名前になった。ただし、浄土真宗だけは、戒律を受けないので、戒名ではなく法名と言う。
成人の男子は、大居士(こじ)・居士・大禅定・信士・清信士。成人女子は、清大姉・大姉・禅定尼・信女・清信女。そして童子は、童児・清童児・童女などの位号(戒名の一番最後)を付ける。
この戒名を、死者の追善のために細長い板に書いて、墓の側に立てるものを卒塔婆(そとば、そとうば)と称する。卒塔婆に記入するのは簡単ではないので、「戒名書き」に料金を払って書いてもらった。
この噺のように、主要な寺院の境内には、春秋の彼岸、盆、縁日などでさまざまな露店が出て賑わう中に「戒名書き」も出店した。
戒名または法名は、俗名(生前の名前)に対する名称だが、俗名は本名とも言う。この本名に対する語に、綽名(あだな)・字名(あざな)・異名・ニックネームなどがある。
また、職業に注目すると、筆名(作家)、号(画家・彫刻家・俳人・詩人)、芸名(芸能人)、四股名(しこな=力士)、源氏名(ホステス)などもある。
スポーツチームにも、最近は愛称を付けることが多い。一例を挙げると、侍ジャパン(野球)、ソフトジャパン(ソフトボール)、SAMURAI BLUE(サッカー男子)、なでしこジャパン(同女子)、サクラジャパン(ラグビー男子)、火の鳥NIPPON(バレーボール女子)、アカツキジャパン(バスケットボール)、彗星ジャパン(ハンドボール男子)、おりひめジャパン(同女子)、日の丸飛行隊(スキージャンプ)と、広範囲に及ぶ。
かく言う相羽秋夫も筆名である。
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