ライター・編集者 松本正行

国立文楽劇場の「通し狂言 義経千本桜」がスタートしました。
文楽の作品はそもそも1日がかりで上演されるものですが、近年は料理のアラカルトよろしく各作品の「いいとこ取り」をすることが多くなりました。しかし、今回の「義経千本桜」は1日ですべて見ることができます。「通し狂言」の冠が付いたのはそのためです。
三部構成になっているものの、さすが三大狂言のひとつ、各部に見どころがあります。
たとえば、第1部(初段~二段目)の「渡海屋・大物浦の段」では局の哀切と知盛の豪快な最期が同時に味わえます。第2部(三段目)では、「すしやの段」のいがみの権太の心の動きに注目。ここは世話ものに近い内容といっていいでしょう。そして第3部(四段目)では、狐忠信が縦横無尽に飛び回ります。人間国宝・桐竹勘十郎さん(人形遣い)の面目躍如といったところでしょうか(写真は過去の公演の模様です)。
その勘十郎さんが朝日新聞のインタビューで「難しいことを考えないで、お楽しみいただきたい」と話していましたが、紹介した見どころはまさにそれが当てはまるでしょう。
ちなみに、「初めて文楽を見にこうかな」と思った人がいたら、上で紹介した部分だけ見る「幕見席」もおすすめです。2500円ないし3500円なので手軽に楽しめますよ。
「通し狂言 義経千本桜」は4月30日まで。ぜひ、国立文楽劇場では21年ぶりとなる本格的な通し上演をお楽しみください。
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2025/202504bunraku
(幕見席の案内はこちらにあります)
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。
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