ライター・編集者 松本正行
学生時代も大阪で過ごした人なら、芸術鑑賞などの名目で国立文楽劇場を訪れた人は多いと思います。でも、途中から眠くなって……。かくいう私もそのクチでした。ただ、まだまだ初心者レベルではあるものの、そんな私が文楽についての記事を書こうというのですから、人生わからないものです。
きっかけは落語でした。文楽同様、「小難しい」と思っていた古典落語が40代になって聞くと意外と面白く、それこそ「ハマった」のです。それからしばらくして、文楽劇場で『仮名手本忠臣蔵』が上演されていたので、「落語によく出てくる話だから、見ておいてもいいか」と行ってみたところ、こちらにも「ハマった」。高校の時と同じ演目(『菅原伝授手習鑑』)も見ましたが、当時と違って登場人物たちの心の動きもよくわかるし、人形の動きも楽しめるんです。ちなみに、この6月の文楽鑑賞教室では『二人三番叟』と解説に加え、『菅原伝授手習鑑』が上演されました(写真はそのときの『菅原伝授手習鑑』の模様)。
一番の違いは、年齢のように思います。世話物でも時代物でも、お芝居ですから基本は登場人物の心の動きが鑑賞のポイント(世話物・時代物などはおいおいご紹介します)。そこが経験とともに理解しやすくなるわけです。そのうえで、私の場合は、落語のこともあって「小難しい」という先入観がなくなっていたのでしょう。
ちなみに、国立文楽劇場では太夫さんが話している内容がわかるよう舞台上部に字幕があります。古いとはいっても日本語ですから、これを読めばたいていのことはわかるんです。さらに、ネットなどで「あらすじ」を掴んでおくと、「これ、何のお話なの?」と迷子になることはありません。
「文楽なんて」は食わず嫌いと同じでもったいない。私の印象だと30代にもなれば、その面白さは十分理解できるように思います。これから月イチで、「初めてさん」向けの文楽講座を開講しますので、どうかお楽しみに。
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。
この記事を読んで文楽に興味を持った人は、ぜひ劇場にもお運びください。7月にも夏休み特別公演があって、朝・昼・夜の3部構成。朝は「親子劇場」です。詳しくは、下記をご覧ください。https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2024/6201.html?lan=j