ライター・編集者 松本正行

まずは、個人的なお話をさせていただきます。先日、京都大学で地理学を学ぶ学生さんとお話する機会がありました。地理学を専攻している学部生で、山にまつわる文化や社会状況に関心があるといいます。その際、近松の『女殺油地獄』が話題になったのでした。殺人を犯す若者が大峰山に修業登山に行くと偽り、親から金をせしめた――。実際、江戸から明治・大正にかけて、船場の商家の若者が、一人前の商人として認められるための通過儀礼として、大峰山に行ったのだそうです。
とても興味を持ってくれたのですが、その学生さんは文楽にあまりなじみがなかったので、まずは手に取りやすい現代語訳を紹介するのがよいだろうと考えた。で、私が勧めたのが「河出文庫」の〈古典新訳コレクション〉です。『女殺油地獄』は、直木賞作家の桜庭一樹さんによるものです(ちなみに女性です)が、名手の手にかかると、これほどまでに読みやすくなるのか――。初めて読んだとき感心したのを覚えています。
文楽の作品は、古い言葉でわかりにくいだけでなく、筋も複雑でなかなか頭に入ってこないという人も多いでしょう。そんな人でも、先の文庫のような“名訳”なら、今風の小説のような感じで楽しむことができる。まだ「食わず嫌い」の人は、読みやすい現代語訳から文楽の世界に入ることをお勧めします。
間もなく始まる「令和8年4月文楽公演」では、第1部と第2部で『菅原伝授手習鑑』が上演されます。「河出文庫」のシリーズでは、直木賞作家であり“大の文楽ファン”として知られる三浦しをんさんが現代語訳を手掛けています。まずは、お話としての『菅原伝授手習鑑』を楽しんでください。そして、文楽劇場に足を運びましょう!
●「令和8年4月文楽公演」(4月4日~26日)
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2026/2026bunraku04/
筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。
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