所在地:大阪市住之江区浜口西1丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
南海電車・住吉大社駅の西に広がる住吉公園。その公園の真ん中を貫く道を抜けた先に、住吉高灯籠(写真上)は建ちます。いまの高灯籠は昭和に入ってからの復元ですが、日本最古の灯台とされ、そもそもは鎌倉時代に漁民たちが航海の安全のために建てた常夜灯が始まりでした。江戸期にはすでに現在の形になっており、『摂津名所図会』などで確認することができます(写真下は明治初年ごろの『写真浪花百景』住吉高とうろう)。
このあたりは住吉の浜と呼ばれ大坂の中でも「名所中の名所」でした。「名所図会」などに使われた絵にも多くの行楽客の姿が描かれています。まず、そこは古来より白砂青松が美しい海岸で有名でした。旧暦の3月には巨大な干潟ができ、潮干狩りの人出でにぎわいました。景色も抜群によく高灯籠の上からは六甲山や淡路島などが見渡せたといいます。
住吉という地名に「吉」という字が入るのも、このように風光明媚な土地だからでしょう。ただし、古代、この字は「え」と発音していました。つまり住吉と書いて「すみのえ」。「すみよし」と発音されるようになるのは平安時代からだ、といいます(日本書紀では墨江、のち住吉に。須美乃叡と書かれたこともありました)。その後、「すみのえ」が「住之江」となり、双方が残って現在の区名になったのでした。
高灯籠は、より古い名を残す住之江区に建ちます。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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