所在地:大阪府大阪市天王寺区夕陽丘町
写真/中原文雄 文/松本正行
「大阪は緑が少ない」と言われることが多いのですが、あべのハルカスの展望台から北を見る限り、「そんなことはない」と言いたくなります。生國魂神社から茶臼山にかけ細長く伸びる緑の線。中ほどにある大江神社(写真上)などは、さしずめ森の中にある社でしょう。実際、多くの樹木が生い茂り、それらは大阪市の保護樹林の指定も受けています。西側にある101段の階段を下から望めば、郊外の神社にいるような錯覚すら覚えます。
歴史は古く、聖徳太子が四天王寺の守り神として創建したと伝わります。四天王寺の西北(乾の方角)にあることから長らく「乾の社」と呼ばれていました。その後、境内に毘沙門堂が建立され、そのお祭りが摂津名所図会に描かれるほど有名だったのですが、明治の神仏分離でお堂は廃止、本尊は滋賀県に移されました。結果、狛犬ならぬ「狛虎」だけが残ったわけですが(虎は毘沙門天の使い)、ここで思わぬことが起こります。阿形しかなかったので有志が吽形を奉納したところ、その年(2003年=平成15年)タイガースが優勝。以来、大江神社は阪神ファンの聖地になったのです(写真下)。
神仏分離とともに社名も大江神社に改められ、明治の末には同じく四天王寺の守り神だった7つの神社(四天王寺七宮)のうち3つが大江神社に合祀されました。四天王寺七宮は、現在、大江神社、堀越神社、久保神社、河掘稲生神社が残っています(いずれも大阪市天王寺区)。大江神社同様、堀越神社も名所と呼ぶにふさわしい神社です。いずれ稿を改めて紹介することにしましょう。
中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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