所在地:大阪市住吉区住吉1丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
阪堺電車は恵美須町駅を起点とし堺方面に延びる阪堺線(14.0キロ)と、天王寺駅と住吉駅を結ぶ上町線(4.3キロ)からなります。このうち上町線は上町台地の南部を縦断。阿倍野駅あたりではあべのハルカスを背景に新と旧の対比が楽しめますし、帝塚山周辺はおしゃれなお店を間近に見ることができます。また、かつて住吉駅の先には全国でも珍しい「ダイヤモンドクロス(線路の平面交差)」があり、いまも名残をとどめています。
このように随所に見どころがあるのですが、何といっても圧巻は南海電車と立体で交差する通称「神ノ木クロス」でしょう(写真上)。南海高野線の邪魔にならないよう堤を築き、そこに上町線の線路を敷設したのでした。このすぐ西に神ノ木駅があり、ホームに行くには階段を上る必要があります。しかし、その分、眺めがよく下を走る南海の電車もしっかりと見えます。鉄道ファンの間では人気のスポットなのだそうです。
鉄道ファンからの人気という点でいえば、「161型車両」(写真下)も忘れてはいけません。1928(昭和3)年製造で、運用中の電車としては日本最古。まさにレトロ中のレトロな電車で、いまでもイベント時などに運行されています。木でできた部分を中心に劣化や腐食が進み、クラウドファンディングで寄付を募ったところ目標の倍が集まったとか。人気のほどがわかりますね。
なかなか「生でお目にかかる」ことはできませんが、ぜひハルカスを背に161型が走る姿を見たいものです。
中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
※「うえまち」読者が推薦する上町台地の名所のうち、100か所を地図にした『上町台地名所百景』。大阪歴史博物館1Fにあるミュージアムショップで販売中です(税込400円)。
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