所在地:天王寺区茶臼山町1
写真/中原文雄 文/松本正行
日本有数の規模を誇り、家族連れはもちろん、平日も遠足など子どもたちでにぎわう天王寺動物園(写真上)。その歴史は古く、2025年に110年の節目の年を迎えます。開園は東京・上野、京都・岡崎についで3番目でした。約60種でスタート。動物の種類・数は増え続け、戦前には日本最多の飼育動物数を誇った時期もありました。しかし、戦争の影響で猛獣を中心に殺処分が行われたほか、餌の不足で動物の数は激減。終戦時はわずかしか生き残っていませんでした。
そんななか、1950(昭和25)年にやってきたのがアジアゾウの「春子」です。春子と妹ゾウのユリ子の人気で入園者数は回復していったといいます。春子は長命で、2014年まで生きたので(推定年齢66歳)、「春子を見た」という人も多いでしょう。亡くなる直前の姿は、映画にもなっています。
天王寺動物園の人気者は春子の他にも誕生しており、最近だとシロクマの「ゴーゴ」君が有名でしょう(豚まんで有名な蓬莱から寄贈されたのでゴーゴ)。豪快なジャンプの連発で来園者を湧かせましたが、現在は繁殖のため横浜の動物園に“長期出張中”。できるだけ早い帰園が待たれるところです。
近年は生物多様性の観点から動物園の教育面に注目が集まる一方、「観光資源」としても期待が高まっています。SNSを活用するなど、今後の天王寺動物園の取り組みは「大いに期待」されるところです(写真下は大阪メトロ・動物園前駅のホーム壁面)。
中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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