所在地:大阪市天王寺区大道1
写真/中原文雄 文/松本正行
現在、四天王寺には2つの大きな梵鐘があります。しかし、かつては世界一の大きさを誇る釣鐘もありました。「釣鐘まんじゅう」はそれに由来した銘菓で、明治33(1900)年に誕生。総本家釣鐘屋の初代が考案したとされます。お店以外に、四天王寺境内の休憩所や茶室でも味わうことができます。
写真上は西門近くにある総本家釣鐘屋の店舗。実に赴きがありますね。大阪市の都市景観資源にも登録されているそうです。屋根の上に“ミニチュア版‘’の鐘楼が乗り、2階に見える4つの窓も寺院建築によくある花頭窓(かとうまど)に似せた釣鐘の形。多くの人がカメラを構えるのもわかります。
肝心の世界一の釣鐘は「頌徳鐘(しょうとくがね)」と呼ばれました。高さ約8メートル、重さは157トンもあって、天王寺公園で催された第5回内国勧業博覧会に間に合わせる形で企画、聖徳太子一三〇〇年御忌の記念事業として制作されました(完成は1906年=明治39年)。しかし、戦争中の金属回収令で供出されてしまったのです。
実は、いま四天王寺にある「英霊堂」(写真下)は頌徳鐘のためにつくられた鐘楼です。戦後になって、柱の間に壁がつくられ、戦没者のための慰霊施設に生まれ変わりました。5メートルもある立派な阿弥陀如来立像はじめ持国天、増長天などが祀られて、それらを間近で拝むことができます。
中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
※世界一の仏像については「うえまち新聞 号外」2022年6月号にも詳しく書いています。なお、機種によっては、閲覧対応できない場合があります。ご容赦願います。
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