所在地:中央区大手前8
写真/中原文雄 文/松本正行

大阪府は1868(明治元)年に誕生しました。このときは旧摂津国の一部のみで、和泉や河内は含まれていません。それらは同時に誕生した堺県の区域で、堺県はのちに大和国(現在の奈良県)も管轄するようになります。そして1881年、その堺県を吸収して大阪府は最大の版図となり、6年後に奈良県が独立しました。大阪府はそのような歴史を歩んだのです。
初代の府庁舎はいまのマイドームおおさかの場所に設置されました。1875年に西区江之子島に移り、三代目の現庁舎(写真上)が完成したのは1926(大正15)年のことです。現役として使われている都道府県庁舎では最も古く、鉄筋コンクリート構造をいち早く取り入れたモダニズム建築の先駆けとして高く評価されています(設計は平林金吾と岡本馨)。2021(令和3)年には国の登録有形文化財に指定されました。
写真下の玄関ホールや大階段をはじめ議場、「正庁の間」などは約100年前の姿のまま。玄関入口・車寄せには凝ったレリーフがあり、威厳と風格が漂っています。そのため、映画やテレビ・ドラマなどの撮影に使われることが多く、過去には玄関ホールでファッションショウが開かれたこともありました。かつて式典などに使用された正庁の間は毎週金曜日に一般公開されています。窓の向こうに見える大阪城の天守閣は実に壮観。天井の大きなステンドグラスも見ごたえ十分です。

中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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