所在地:天王寺区堀越町
写真/中原文雄 文/松本正行

昼間は薄暗いその場所も、夜になると様相が一変します。シャッターが目立ち、まるで廃墟のようだった路地に、日が暮れるころには飲み屋の明かりが灯り始めるのです。阪和商店街(写真上)は、かつて危険な香りの漂う“おじさんの行く街”でした。しかし、「裏天王寺」とも呼ばれるようになった現在では、若者に人気のスポットになっています。
そもそもは闇市を起源とする雑多な商店街でした。1955(昭和30)年の大火を機にお菓子の問屋街となり、当時の建物がいまも多く引き継がれています。その後、お菓子問屋が減り、飲み屋街へと姿を変えていくのですが、再開発の計画も当然のようにありました。ところが、区画が細分化されていたことや、すぐそばに住宅街が広がっていたことなどから計画は立ち消えに。結果として、「昭和レトロな空間」が残されることになったのです。
最近は若者向けのおしゃれな店が増えてきたといいますが、“店主の顔が見える”昔ながらの飲み屋もまだ残っています。なかには、ワニやダチョウの肉を味わうことができるような珍しい店もあります。この街がどのように変化していくのか興味は尽きません。
そんな商店街を一歩出ると、写真下のような風情ある景色に出会うことができます。街は変化しても、いつまでも残して欲しいものはある。新と旧がうまく調和する工夫を期待したいですね。

中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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