所在地:天王寺区下寺町1丁目・2丁目
写真/中原文雄 文/松本正行

松屋町筋を南に進み千日前通を過ぎたあたりから町の姿が一変します。1キロ以上にわたり道路の東側はお寺ばかり――。20か寺以上が立ち並ぶ下寺町は、夏の陣の後、幕府が大坂城の南を守る砦にするため寺を集めた、ともいわれますが、定かではありません。ほとんどは浄土宗で、1600年前後の創建。江戸期の文人や歌舞伎役者、最上級の遊女など名の通った人物も数多く眠ります。
ここでは建物に注目して、下寺町を見ていきましょう。
金臺寺は1656年ごろの創建で、創建時に建てられた本堂(写真上)は大阪市内の浄土宗本堂としては最古です。庫裏、書院、山門、鐘楼など江戸期の建築が見事に保存されており、まとめて大阪市の文化財に指定されています。一方、写真下の心光寺の本堂はインド風。火事により焼失した本堂を、昭和初期にいまの形に再建したのでした。登録有形文化財ですが、当時の住職の設計によるというのには驚かされます。他にも、下寺町には文化財級の建物がたくさんあり、“宗教都市・大阪”の息吹を感じることができます。
ところで、下寺町と聞いて、落語に出てくる「ずくねん寺」を思い起こされる人もいるでしょう。もちろん架空のお寺ですが、「大きな銀杏の木があり、鶏頭の花が真っ赤に咲いている」などと描かれており、どこかにモデルになる寺があったのかもしれませんね。

中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
#名所図会 #大阪市天王寺区 #下寺町 #上町台地 #金臺寺 #心光寺
