所在地:天王寺区生玉町~茶臼山町
写真/中原文雄 文/松本正行

あべのハルカスの展望台に行く機会があれば、ぜひ北の方角に目を向けてください。天王寺公園あたりから一直線に緑が伸びているのがわかります。それは「グリーンベルト」(写真上)と呼ばれることもある、都会では希少な樹林帯です。場所によっては、「ここが本当に大阪?」と思えるほど、うっそうとした森が広がっています。
生國魂神社から茶臼山まで、およそ2キロにわたりグリーンベルトはあります。2000年代のはじめ、大阪公立大学の名波哲教授が行った調査では、6300本以上の樹木が確認されました。なかでも特徴的なのが、台地のへりに沿って広がる「斜面緑地」(写真下)です。ここには200種以上の樹木があったといいます。多くは寺の裏手にあたり、この斜面がグリーンベルトの軸となっています。
クスノキ、ムクノキ、エノキ、アオキなど大阪に多い在来種が中心ですが、ナギやボダイジュ、サカキといった宗教的な意味合いをもつ木も多く植えられていました。当然、野鳥や昆虫も集まってきます。ここはまさに天然の植物園、野鳥園であり昆虫館でもあるのです。
ある研究チームが航空写真を使って、1974年と2007年の樹木分布を比較したところ、大きな変化は見られませんでした。とはいえ、これから先、何が起こるかわかりません。この貴重な緑を守るために、私たちも知恵を絞りたいものです。
参考:あんじゅvol.75(2018年)

中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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