所在地:大阪市住吉区住吉1丁目
写真/中原文雄 文/松本正行
「住吉津」が外交の窓口であった古代より、住吉の町は栄えていました。ただ、いまでこそ鉄道の駅周辺にお店などは集中していますが、江戸期までは住吉大社の東側が町の中心、人通りも多く繁華だったといいます。というのも、そこには南北に熊野街道が、東西に住吉街道が走っていたからです。
池田屋本舗(写真上)はこの2本の大道がクロスする場所にあります。
製造する「住乃江味噌」は明治時代に誕生。明治、大正、昭和の3代の天皇にも献上された「名物」です。登録有形文化財指定の建物も同じく明治(1890年ごろ)に完成しました。入母屋造りの2階建て。角近くの高灯籠が目立ちますが、虫籠窓(むしこまど)やうだつ、屋根の上にちょこんと乗った鐘馗(しょうき)さんなど随所に見どころがあります。
戦争による被害が少なかった住吉大社周辺は昔の道が非常に多く残り、歴史の積み重ねを感じることができます。とくに大社の東側は13体の石仏で有名な宝泉寺(写真下。平安期に恵心僧都が創建)など古寺が多く、仏像を見て回る「仏女」の姿も見かけるようになりました。とはいえ、まだまだ広く、その魅力が知られているとはいえません。
“住吉さんの東”は、まさに見直されるべき名所といえるでしょう。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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