所在地:大阪市中央区大阪城
写真/中原文雄 文/松本正行
かつて大阪は「軍都」とも呼ばれ、多くの軍事施設が建ち並んでいました。いま、名残りはほとんど残っていませんが、数少ないそれが天守閣横にある「ミライザ大阪城」(写真上)です。もとは第四師団司令部でした。
近代軍制の創始者である大村益次郎は軍事拠点としての大阪を重視し、当初、軍の中枢も大阪に置きました。その後、中枢は東京に移ったものの、軍事的な大阪の重要性は変わりません。大阪城を中心に、さまざまな軍の施設がつくられていきます(写真下の真田山公園は騎兵連隊の跡です)。とりわけ城内は重要な拠点で、一般の人の立ち入りが禁止されていました。
立ち入り禁止が解除されたのは、天守閣の再建がきっかけです。大阪市が天守閣の復活とともに周辺を公園として整備することを計画。軍を説得するため、第四師団司令部庁舎の寄付を申し出たのでした。
地下1階、地上3階の鉄筋コンクリートづくりで、1931(昭和6)年に完成。ヨーロッパの城を参考に設計されたといわれます。奇跡的に空襲にはあわず、戦後は警察の本部や市立博物館として利用されてきました。再び大阪が軍都と呼ばれるようになってはいけません。そのためにもいつまでも残したい「歴史の生き証人」です。
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中原文雄
1948年生まれ。建築工房日想舎 主宰。NPO法人まち・すまいづくり会員。
松本正行
1965年生まれ。ライター・編集者。NPO法人まち・すまいづくり会員。
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